古くから最も一般的に採用されている S50C(軟鋼研削法)のツルーイング比を1として 各種のドレッサーと比較すると、SUS 及び Cu は S50C の約3.4倍 、Co 及び Tiは約4.0倍であるが XPOWER は18.6倍にもなる。 又、一般砥石である WA と比較すると、軟鋼研削法は3.6倍、XPOWERは約67倍と なり極めてツルーイング比が高くなる。 ツルーイング比が高ければ、ドレッサーの減耗量に対して砥石減耗量が多くなるためツルー イング処理時間が大幅に短縮できることになる。 6.XPOWER のコストメリット 一般的によく採用されている軟鋼研削法とXPOWERとを下記実験により検証し、そのコスト メリットを算出した。 ツルーイング条件は、 砥石回転数1000 rpm (10m/s) 、左右送り速度15 m/min (0.25m/s)、前後送り速度230 mm/min(3.8m/s) 、砥石はCBN170N100 (199D×15T )を使用した。
軟鋼研削法(S50C)
XPOWER
結 果
両側切込み量(負荷電流)
0.004 mm (5A)
0.005mm (5A)
砥石除去量(片肉 目標50μm)
0.052 mm
0.049 mm
総切込み量
1.96 mm
0.20 mm
ドレッサー減耗量
1.903 mm
0.147 mm
処理時間/23回
43.3時間
3.1時間
処理費用
129,900円
9,300円
ドレッサー費用
232円(4個)
40,000円
処理費用総額
130,132円
49,300円
処理費用/回
5,657円
2,143円
精 度
表面粗さ
Ra 0.723
Ra 0.648
真直度
1.0μm
0.6μm
備 考
1.処理費用 3,000円/チャージ は、仮定金額である。
2.表面粗さ及び真直度は、ツルーイング後SKH51(HRC63)を プランジ研削して測定した値である。 以上より、XPOWERは、ドレッサー費用については軟鋼研削法と 比較して高価であるが、処理時間が軟鋼研削法の43.3時間に比べて 3.1時間ですむため、処理費用総額では軟鋼研削法が約130,000円、 XPOWERは49,300円となり、1回当たりの処理費用は1/2 以下となる。 ドレッサーの使用頻度が高くなるに連れて、アワーレートによって、 その差が大きくなりコストメリット も大きく変ってくる。