ダイカスト |
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ダイカスト法は次の3要素によって成り立っている。 1) 素材である合金 2) 溶けた金属を固める金型 3) 型に溶湯を圧力注入するダイカストマシン この3要素別に話しを進めていこう。 | |||||||||
1)合金 | |||||||||
合金の種別 | 概要説明 | 融点 | 比重 |
熱伝導 W/m・℃ |
引っ張り強度 N/mm2 | ||||
アルミニューム合金 |
ダイカスト生産量の90%以上を占めているのが このアルミダイカストだ。そのうちの約70%が 自動車やオートバイ向けの生産である。 代表的な材質でADC−12(機械的性質・鋳造性 に優れている)ADC−10(機械的特性・切削性に 優れている)などがある。 最近ではヒートシンクを目的とした純アルミダイカスト なるものが登場しADC−12の2倍を超える熱伝導 性を売り物にしている。 | 580℃ | 2.71 |
92 ↓ 188 |
29.5 ↓ 33.0 | ||||
亜鉛合金 |
近年、VE担当の技術者が積極的に取り入れた ダイカスト法がこの亜鉛ダイカスト。 成形精度で±0.01をクリアー出来ること。 金型寿命が100万ショットを保証できること。 耐環境性(耐蝕)が良いことなどから多く採用された | 387℃ | 6.7 |
109 ↓ 113 |
29 ↓ 33 | ||||
マグネシウム合金 |
携帯デジタル機器の普及により脚光を浴びている ダイカスト法。 なんと言っても加工性の高い金属の中で一番軽い 材料のマグネシウム。プラスチックの比重の1.2に 最も近い軽さでありながら、金属特有の強度と電磁 遮蔽能力(EMI)を持つ。 | 595℃ | 1.81 | 71 | 24 | ||||
銅合金 |
ダイカストとしては銅合金の中で融点の低い 黄銅が素材として使われる。 硬さや耐磨耗性、耐食性に優れ水道の蛇口や OA機器の強度を必要とされる部分に使われる。 | 黄銅900℃ | 38.5 | ||||||
鉛・錫合金 |
強度が弱いので、余り使われていない。 鉛は高比重や耐食性。 錫は厳しい寸法、耐化学薬品用として利用。 |
錫 296℃ 鉛 272℃ | |||||||
2)金型 | |||||||||
どのダイカストも同じような金型構造である。 溶湯の温度を融点よりも50℃〜100℃以上あげて鋳造することが日常であるので、金型は耐久性を重視し モールドの金型などからすると母型も厚く大きく、抜け勾配も大きくとる。 抜け勾配は亜鉛で内で1度、外で30分。アルミで内1度30分、外1度。マグネシウムは亜鉛とほぼ同じと言われている。 型の材質は母型にS45CやS50C、キャビティ部分にSKD61などを使うのが一般的だ。 モールドに比べ押し出しピンや背板は先端部まで太く、厚くなっている。 ゲート方式は、サイドゲートが一般的であり、モールドのようなピンゲート、サブマリンゲートは出来ないと言っていいだろう。 これは、高温の溶湯を瞬時に金型内部に入れて水冷するために太いゲートでないと、瞬時に射出できないからだ。 (水あめをひねり出すようなモールド法に比べダイカスト法は水鉄砲のように一気に射出する) 手のひら位のダイカストでも精度やスライド合せなどの方構造により型代が100万円〜1,500万円するものもある。 このコストは、金型納期の3週間から4ヶ月に比例しているとも考えられる。 | |||||||||
3)ダイカストマシン | |||||||||
ダイカストマシンは、固定型と可動型を開閉するための型締部、溶湯を金型の内部に圧入するための射出部、そして製品を金型から 取り出すための」押し出し部を備えています。 溶湯を射出するための加圧室の構造により、「ホットチャンバダイカストマシン」と「コールドチャンバダイカストマシンの2つのタイプに 分かれます。 ホットチャンバダイカストマシンは加圧室が溶湯の中にあり加熱されているので、この名称があります。 イメージとしては、水鉄砲をお風呂の湯船の中に漬けたまま射出口だけを空気中に出してピストンを動かす。水鉄砲の給水口の蓋を 開けておけばスピーディーに水を発射することができると言う原理。 コールドチャンバダイカストマシンは、加圧室が溶湯の外にある構造。別に作られた保温炉から、手汲みか自動給湯機によりサイクル 毎に加圧室へ注ぎ込みます。 ホットチャンバはスピーディーだが加圧室の過熱が問題となり、低融点合金(亜鉛ダイカスト)を中心に普及している。しかし、近年では マグネシウム合金用が実用化された。 コールドチャンバは、「汲む」という行動が余分になるのでサイクルタイムが長くなる、しかし加圧室が外にあるので高融点の鋳造が出来る のが特長。 | |||||||||
種 類 | 用 途 | マシンのサイズ(型締力) | |||||||
ホットチャンバ | 亜鉛合金・マグネシウム合金・鉛合金・錫合金 | 1tf 〜 1,250tf | |||||||
コールドチャンバ | アルミニウム合金・マグネシウム合金・銅合金 | 35tf 〜 4,000tf | |||||||